日野自動車(株) 安全衛生環境部こころとからだの健康推進センター・新田中嶋産業医⓬はじめに私たちがなぜ睡眠をとるのか、現在でも完全には解明されていません。しかし、睡眠が不足した状態は脳の機能低下につながり、不測の事態を招くことがあります。日野自動車における2022年度の調査で、約39%の社員が睡眠で十分な休養がとれていないことが判明しました。今回は睡眠障害について解説し、さらに良質な睡眠を得るためのポイントを紹介します。睡眠障害について睡眠障害には①入眠障害(寝つけない)、②中途覚醒(途中で何度も目が覚める)、③早朝覚醒(早朝に目覚めて二度寝ができない)、④熟眠障害(ぐっすり眠った感じが得られない)があります。週の半分以上このような睡眠障害を認める場合は不眠症と診断される可能性があります。原因としてうつ病や不安症などの精神疾患や睡眠時無呼吸症候群などの疾患が潜んでいることもあります。睡眠時間しかし必日本国民の平均睡眠時間は2020年の調査では7時間12分でした。要な睡眠時間は個人差があります。9時間以上の睡眠が必要な人がいる一方で6時間未満でも問題ない人もいます。また、一般的には年齢が上がるにつれて睡眠時間は減少する傾向があるといわれています。それぞれの個人において自分自身が十分な休養が得られていると感じる睡眠時間を認識し、その時間を毎日確保できるような生活リズムで過ごすことが重要です。運動・身体活動適切な運動・身体活動によって適度な疲労が生じることにより、良好な入眠、中途覚醒の減少および質の良い睡眠が得られるといわれています。定期的に運動している人の70%以上が良好な睡眠を得ているという報告もあり、「運動の習慣化」は良質な睡眠に必要です。禁煙 タバコに含まれるニコチンには覚醒作用があり良好な睡眠を妨げます。また、喫煙歴の長い人は睡眠時無呼吸症候群を発症する危険性が高まるという報告もあり、睡眠以外の健康上の観点からも禁煙が望まれます。おわりに睡眠で十分な休養をとることは不測の事態を生じさせないことに必要なだけでなく心身の健康を維持するためにもとても大切です。良質な睡眠をとる方法は個人によって様々ですが自分に適した方法をぜひ見つけて下さい。なお自分自身で解決できない睡眠に関する問題が続いた場合には、医師などの専門家に相談して下さい。〜健康相談だより〜〜健康相談だより〜睡眠で十分な休養を得るために
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